アリア

ねえねえ。夜空はどうして暗いの?

 キラキラ光るお星さまを指差して、アリアは言いました。

レイ

それはね。太陽が地球の裏側にいったからだよ

 けれど、「そうじゃなくて!」とアリアはぷっくりと頬を膨らします。

アリア

宇宙はどこまでも広がっているんだよね?

お星さまも数え切れないくらいたくさんあるんだよね?

だったらさ、

夜空はお星さまで埋め尽くされちゃうんじゃないの?

レイ

なるほどな。
(そこに気づくとは。さすがは俺の娘……!)


どうでしょう? あなたはこの質問に、きっちりと答えられますか?

分からない。あるいは経験則から、こう考えるかもしれません。

光は遠いほど暗くなるから、遠い星の光は分散して暗くなっているだけだろう。
地球から近い星だけが明るく見えているだけだろう。

だから、夜空全体が星で埋め尽くされることはないのだろう。

残念ながら、これは間違いです。
遠い星の光が暗く見えることは事実です。
しかし一方で、遠いほど、わずかな面積の中に多くの星が含まれるので明るくなるのです。

どういうことかと言うと、
たとえば、あなたが指で四角を描き、夜空を切り取ったとします。
もし、星が宇宙に均等に分布していると仮定すれば、あなたが切り取った四角い夜空の中は、宇宙の遥か遠い先へいくほど多くの数の星を含むことになるのです。

つまり、

地球から見たとき、遠い星ほど一個一々の星の輝きは小さく暗く見えるけど
それと同じくらいに、遠い場所ほど、たくさんの星が力を合わせて大きく明るく見えるのです。

本当に宇宙が無限に広がっているならば、夜空は星で埋め尽くされ、
明るくならないと科学的におかしいことになってしまいます。

しかし、なぜ夜空は明るくないのでしょう?

これが『オルバースのパラドックス』なのです。

夜空が暗い理由(『オルバースのパラドックス』解説)

レイ

それはね。

宇宙が広すぎるからだよ。

アリア

シンプル!!

理由は驚くほどにシンプルです。

宇宙が広すぎるから。

これです。

もっと詳しく言うと、宇宙は広すぎるので、私たちは宇宙の一部しか見ることが出来ないからです。

どういうことでしょう?

宇宙が誕生したのは、およそ137億年前だと言われています。
ビッグバンと呼ばれる現象により、生まれると同時に急膨張し、今の姿になりました。
そして光が一年で進む距離は1光年(約9兆5000億km)と定義されています。

つまり、137億光年(約1300兆km)先までの宇宙の光しか地球には届いていないことになります。
(※正確には、光が進む間も宇宙は膨張を続けているため、観測できる範囲は137億光年よりもずっと広い。それでも約450億光年ほどだと言われている。)

そして、私たちが知っているとおり、宇宙は無限の広さを持ち、今もなお膨張を続けています。
当然、まだ地球まで光が届いていない星もあるわけです。

ということは、地球にまだ届いていない星の光はたくさんあるわけで、夜空が暗くても何もおかしくないのです。

以上が、『オルバースのパラドックス』でした。

まとめ

レイ

夜空が暗い理由。
それはね。宇宙が広すぎるからなんだ。

遠い遠いお星さまの光は、まだ地球にやってきていなくて

一生懸命、地球に向かっている最中なんだ。

アリア

理解した!