誰もが一度は考える。睡眠なんて無くなればいいのに。

レイ
アリア。
そろそろ寝なさい。

アリア
寝ないといったらどうする?

レイ
いや寝ろ
すると娘は「いやだ! いやだ!」とだだをこねました。

アリア
どうして寝なきゃいけないか分かるまで寝ないもん!
さて、こうなったら仕方ないので睡眠の必要性について考えてみましょう。
睡眠を必要とするのは人間だけではありません。地球に生きる、ありとあらゆる生物が睡眠をしています。
この事実は「生物には睡眠が必要」という結論の裏付けにはなりますが、どうして必要なのでしょうか?
その理由は、長年のあいだ科学者を悩ませていた疑問でもあるのです。
睡眠のデメリット
なぜなら、生物における睡眠には、はっきりとしたデメリットがあるからです。
- 無防備な状態になるため、捕食者から身を守れなくなる。
- 睡眠時はエネルギーを蓄えられず、一方的にエネルギーを消費している。
- 睡眠に時間を使うことで、あらゆる活動時間が減ってしまう。
どうでしょう?
生物にとって睡眠はかなり致命的なデメリットを持っているように思わないでしょうか。
しかも、多くの生物は一日の相当な時間を睡眠に費やしています。
種の生存競争が求められる自然界の中で、睡眠は邪魔にしかならないと考えた科学者もいるほどでした。
進化の過程でどうして睡眠は淘汰されなかったのか?
と多くの科学者が疑問を抱いたのです。

アリア
アリアと同じ気づきを得るとは。
それでも必要な理由。生物が睡眠をする意味

レイ
それでも睡眠には大きなメリットがあるんだ。
- 心身の疲労回復。睡眠中に体内の修復・回復を促す成長ホルモンが多く分泌される。
- 記憶の定着と整理。覚醒時の体験を整理し、記憶として脳に定着させる。
睡眠のメリットと説明しましたが、そもそも生物は睡眠を取らずに生きていくことはできません。
実際にマウスに睡眠阻害を続けた実験では、実験開始から2週間後にマウスは死んでしまいました。
意外と知られていない睡眠の新常識

レイ
最近では、睡眠こそが生物の基本状態ではないかと考えられているんだ。

アリア
なにを言うとる?
「生物は脳と身体を高度に進化させ、それに伴い睡眠を獲得した」
そう思われがちなイメージがありますが、最近の研究では、それは間違えではないかと指摘されています。
「生物は本来眠っている状態が基本形であり、進化の過程で起きて行動する能力(覚醒)を手に入れたのではないか」といった見解が有力になってきているのです。
この仮説をもとにどのように生物が進化したかを考えてみると・・・
- 動く機能はなく、近くにあった餌を捕食していた。
- 進化の中で「動く個体」が出現した
- 「動く個体」は生存競争で優位に立ち増殖した。捕食能力が高く、生命の危機からも逃げることができたため。
- しかし動くことはエネルギーを多く消耗するため、稼働時間には制限が残った。(無限に活動することはできなかった)
- 覚醒と睡眠を繰り返す個体となった。
このように、アメーバのような原始的な生物が進化の過程で「起きて行動する能力」(覚醒状態)を獲得したのです。
つまり、睡眠そのものは生物に初期から備わっていたデフォルトの状態だったということです。

アリア
動かない生き物もいるよね?
植物とか

レイ
植物には覚醒のメリットが必要なかったんだろうな。
植物は動くことができません。
それは動く生物からしたら「常に睡眠をしている状態」と捉えることができます。外からの刺激に対して反応しない・できない様子は正に睡眠状態と同じと言えるでしょう。
なぜ植物が動かないのかというと
植物は光合成によりエネルギーを作り出すことができるので、他の生物を捕食する必要がないからです。光合成に必要となるのは光や水、二酸化炭素などで、これらは動かずとも手に入りやすいものです。
動くことはエネルギーを大量に消費するため、動く必要がない植物にとっては覚醒能力がない方が合理的な進化だと考えられるのです。
まとめ。睡眠はしないとだめはあたりまえだった。
・睡眠にはデメリットはあるが、疲労回復や記憶の整理・定着などのメリットもある。
・生物は進化の中で睡眠を獲得したのではない。
・睡眠こそが生物のデフォルト状態だった。(あとから「行動する能力(覚醒)」を手に入れた)

レイ
睡眠は生物のデフォルト状態。
そう考えると、どんな工夫を凝らしても「寝なくてもいい」とならないのは当たり前のことなんだ。

アリア
スヤァ・・・

アリア
寝てる・・・!
(なんて可愛い寝顔なんだ)